菖蒲湯はこどもの日の風習で「端午(たんご)の節句」に行う行事のひとつです。
しかし由来や「なぜ菖蒲をお湯に入れるのか…」といった意味まで知識がある方は少ないのではないでしょうか?
今回ははじめて子どもの日を迎える方や今年はしっかりやりたいと考えている方のために、由来を含めた以下の内容を紹介します。
- 菖蒲湯の由来と効能
- 菖蒲湯の作り方
- 菖蒲湯の注意点
菖蒲湯についてまるっと紹介しているので、伝統行事をより身近に感じたい方はぜひ参考にしてみてください。
◇菖蒲湯(しょうぶゆ)の由来
菖蒲湯は、中国で行われていた端午の節句の風習からはじまったものです。
大昔の中国では5月上旬の降水量が多く、病気や厄が増えていました。その邪気を払うために利用されたのが「菖蒲」です。
菖蒲は香りが強く邪気を払うと考えられ、根を刻んで浸したお酒を飲んだり菖蒲湯に浸かったりするという風習が誕生しました。
悪いことを寄せ付けない、また追い払う意味で菖蒲が活用されるようになったのですね!
◇菖蒲湯は「端午(たんご)の節句」のひとつ
菖蒲湯はこどもの日、いわゆる「端午(たんご)の節句」の風習のひとつとして知られています。
主にこどもの日におこなわれる習わしは、以下のとおりです。
- 菖蒲湯に入る
- こいのぼりや五月人形を飾る
- ちまきや柏餅を食べる
菖蒲湯が日本に伝わったのは奈良時代。厄除けとして、軒下に吊るしたり髪に付けたりしていました。
鎌倉時代からは菖蒲の葉が刀に似ているため「尚武」「勝負」に表現され、男の子がすくすくと成長するよう願う行事となりました。
その他こどもの日の風習として最も有名なのは、こいのぼりや五月人形でしょう。こいのぼりは外飾り、五月人形は内飾りとも呼ばれ役目が違うため、どちらも飾ったほうがよいとされています。
行事 | 由来や詳細 |
こいのぼり |
・江戸時代からの風習 |
五月人形 | ・江戸時代からの風習 ・武家では兜や鎧を飾っていた ・子を守るや災いを防ぐという願いが込められ並べられた |
また、こどもの日ならではの食文化は「ちまき」と「柏餅」が有名です。
行事 | 由来 | 特徴 |
ちまき |
古代中国に忠誠心の高い屈原(くつげん)を供養するために投げられた |
・西日本で食べられる ・笹の葉でくるみ糸で巻いてある ・三角や円錐形 |
柏餅 | 柏は新芽が出るまで留まり葉が落ちないため縁起が良いとされており、子孫繁栄を表現するものとされている | ・東日本で食べられる ・柏の葉で包まれている |
それぞれ意味があるため、どんな想いがあるのかを意識しながら楽しむとより充実したイベントになりそうですね!
◇菖蒲湯の効果・効能
菖蒲湯で見込まれる効果・効能は、以下の通りです。
- 保湿
- 血行促進
- 肩こり
- リラックス
- 冷え性
菖蒲の香りには、リラックスや自律神経を整える「アロマテラピー効果」があるといわれています。
日本メディアカルハーブ協会によると、菖蒲の根茎には精油が含有されているため、血行を促進し腰痛や神経痛を緩和させる効果が期待できるそう。季節や環境の変化による疲れがでやすい春〜初夏の時期には最適ですね!
◇菖蒲湯の作り方・入り方
菖蒲湯の作り方は2通りあります。簡単にできるのでぜひやってみてくださいね。
そのまま浮かべる | 5〜10本を浴槽にまるごと浮かべる |
細かくして浮かべる | 1.細かくした根や葉を袋に入れる 2.袋を洗面器などに入れ熱湯を注ぐ 3.10分経ったら袋と抽出液を湯船に加える |
菖蒲根が売り切れの場合は、葉のみを袋に入れても問題ありません。香りを楽しみたい方は高い温度のほうが、香りがたちやすくなりおすすめです。
エキスが含まれた入浴剤を使えば、片付けの手間がないのでより手軽に楽しめますよ!
◇菖蒲湯の注意点
菖蒲湯に入る際は注意点があります。
とくに初節句で赤ちゃんを入れようと県露頭している方は、以下の懸念があるため注意しましょう。
- 菖蒲の汚れを落としてから使用する
- 菖蒲で怪我をしないようにする
- 長時間浸からない
- 上がり湯をする
- 肌荒れ中は入浴を避ける
基本的に菖蒲湯は「厄除け」の意味合いが強く、香りや鋭い形が特徴の植物です。
月齢によっては菖蒲を口に入れたり手で触ったりするので、怪我をしてしまう可能性も。菖蒲を入れっぱなしにせず、入浴する前に取り除いておくと安心です。
また、赤ちゃんの肌は約1ミリ(大人の1/2程度)で、非常に敏感です。バリア機能が十分ではないこともあり、菖蒲湯の刺激でダメージを受けてしまう可能性も考えられます。
少量のお湯で試したり長時間の入浴を避けるなどの工夫をしながら、楽しむとよいでしょう。
◇菖蒲湯は女の子も入ってOK!
菖蒲湯はこどもの日の風習であり男の子のイメージが強いですが、決まったルールがないため女の子が入っても問題ありません。
男女の子がいるご家庭でも気にすることなくみんなで入れますよ!
ただし赤ちゃん同様、子どもも肌が薄く敏感です。香りのほか、肌への影響を踏まえて少しずつトライしてみてくださいね。
◇菖蒲湯の由来を知って行事に親しもう
菖蒲湯は中国から始まった風習ですが、現代では日本でも親しまれています。
主な目的は「厄払い」であり、子どもに災いが起こらないようにおこなう行事です。王道のこいのぼりや五月人形に加えて、ぜひ菖蒲湯も楽しんでくださいね!
ただし、香りが独特だったり一定の効能に期待できたりする植物です。苦手に感じることや肌に刺激を感じることも想定されますので、初めての方は注意しながら進めてください。
普段何気なく習慣として入っているお風呂も、風習やイベントを意識すると特別なものになります。リラックスや疲労回復などの効果に期待できる入浴ですが、四季を感じられる入浴法もまた楽しみの一つになるでしょう。
菖蒲湯は簡単に作れるので、ぜひ家族で子どもの日を楽しんでくださいね。